お知らせ

アンケートにご協力いただいた皆様へ

~進捗状況と、結果報告についてのご説明

 

皆様のご協力により実施しましたアンケート調査には、7000通を超えるたくさんの皆様から回答をいただきました。皆様のご協力の大きさを改めて実感しており、心から御礼申し上げます。

 

回答の分析について、現在までの進捗状況をお知らせいたします。

 

このアンケートは、日本疫学会による倫理審査の承認にもとづいて行ったものですが、皆様からいただいた数千という膨大な自由記述の解析についても追加申請を行い承認されました。また、解析にご協力いただいている東京大学にも倫理審査を申請し、承認を受けました。現在、回答いただいたデータの入力作業を終了し、質問項目の回答と自由記述について解析作業を進めております。

 

解析が進むほどに、調査や解析に携わっている私たちは、このアンケートの社会的役割の大きさと重みを実感しております。これだけ広い地域の方々、そして様々な立場の方々から多くの声を寄せていただいた調査は、わが国ではかつてなかったからです。行政など公的な組織によるものでない調査に対して、7000通を上回る回答が集ったこと自身に、大きな意味があると考えています。

多くの回答が集った理由として、この調査が当初から当事者・ご家族が対等な関係で参加されたことが考えられます。このように、当事者・ご家族が主体性を持って専門職と対等に活動するあり方は、精神科医療の今後の方向性を示しているように思えます。

 

皆様のご協力に支えられたこの調査には、日本の精神科医療や医学教育を変えたいという願いが込められていると私たちは認識し、その思いを生かすために公共性・学術的な意義の高い調査・研究としてまとめる必要があると考えて解析を進めております。

学術的な意義のある形にまとめることができれば、この調査の結果を当事者・ご家族・医療者へ伝えるだけに留まらず、行政も含めて広く社会に皆様の声を伝えることができ、それは人々の考え方や世論を変え、社会の仕組みを変える力となり得ます。我が国の精神科医療の本当の姿や当事者・ご家族が何を必要としているか、医学教育には何が大切かを社会全体で考えてもらい、現状を変えていくうえでの基本的な資料となります。そのように社会のさまざまな方に考えていただくことは、単に精神科医療の改善にとどまらず、また医療という枠組みを越えて、「回復とは何か」を皆で考えるきっかけともなると私たちは思っています。

それだけの貴重な内容が回答には含まれていると思います。

 

そうした社会的役割を担う学術的な資料とするためには、慎重に解析を進めて研究として正確な結果の形にまとめることが求められます。さまざまな批判にも耐えられるよう、しっかりとした解析を何回も慎重に行い、そこで得られた結論にもとづく社会へのメッセージを明らかにすることが、この調査の学術的な意義を活かす方法だと考えております。

そのようにして、この調査が精神科医療も含めた医療や社会を変えるきっかけとなれば、それこそがご協力いただいた皆様への何よりの感謝と御礼になると考えます。

 

そのためには、まだ多くの時間を必要としています。

当初は、本年3月ごろから順次結果をご報告する予定でしたが、正確さを期するめに、皆さまへの結果のご報告を、もうしばらくお待ちいただけますようお願いいたします。

きちんとした結果が明らかになり、調査の結論が公表に耐えうる形になりましたら、このホームページおよび各協力団体を通じてご報告をさせていただきますので、ご理解のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 

やきつべの径診療所  夏苅郁子

調査研究協力者 一同